動物園の歴史、そして世界の4大動物園の一覧

動物

動物園の歴史 時代と共に変わっていく存在意義

動物園という概念は古代にまでさかのぼる。

そして動物園の変遷を簡単にまとめるなら、かなり長い期間において君主の私的な楽しみの動物園から、見世物やエンターテイメントとしての動物園、その後、教育、科学的研究、種の保護という目的が追加で載ってきたもの、これが動物園の歴史である。

野生動物やエキゾチックな動物を飼育する伝統は古代にさかのぼる。エジプトやローマの指導者たちの動物園に見られるように、エキゾチックな動物は権力や富の象徴として収集され展示された。こうした伝統は全ての国ではないが、多くの国の王室で長期的かつ普遍的に見られたものだ。

ウィーン動物園に始まる近代動物園

そんな中で1752年のウィーン動物園の設立というある種の革命が起きる。ウィーン動物園は科学的な目的のために設計されたものであった。

18世紀には王室の動物園の一般公開も多くなる。そしてイギリスのビクトリア朝時代には、公立動物園の数が爆発的に増加した。

1828年には科学的発見の精神に基づいた動物研究を推進するという明確な使命を持ったロンドン動物園も開園した。そして現在の動物園にかなり近い動物園が形作られ始めたのだ。

こちらは1967年にそのロンドン動物園にエリザベス2世女王が訪問した時のもの。

Queen At Zoo (1967)

これ以外にパリ、ベルリンの動物園で同じころに発展し始めた。都市開発の不可欠な一部と見なされたこれらの施設の多くは大都市に設立される。その影響はヨーロッパ以外の地域、アメリカや日本にまで急速に世界中に広まっていく。

そして20世紀初頭。動物園のコンセプトとして革命が起きた。ドイツの動物商であり調教師でもあったカール・ハーゲンベックの登場である。彼は動物の快適性を高め、より自然な行動を可能にすることを目的として、動物の自然な生息環境をより忠実に模倣したバーのない開放的な囲いを導入し、動物園の設計を大きく変えたのだ。

またより多くの動物園が開園するにつれ、動物たちはしばしば動物園間で取引され、その結果、世界中からますます多様な種が集められるようになった。

そして近年の革命。20世紀半ばから後半にかけて環境保護運動が起こると動物園はその使命を再び再定義し始める。急速に加速する生物多様性の喪失に対抗するため、保全と社会教育に重点を置くようになる。

こうして動物園は絶滅危惧種の繁殖プログラムにおいてかなり積極的な役割を果たすようになり、遊園地的な目的の場から、自然保護の拠点へと重心をシフトしたといえる。

世界の4大動物園一覧 最古の動物園、世界最大の動物園は?

ウィーン動物園(ティアガルテン・シェーンブルン)

ウィーン動物園(正式名称シェーンブルン動物園、ドイツ語をそのまま直訳するならシェーンブルンの動物の庭)は、オーストリアのウィーンにあり継続して運営されている世界最古の動物園である。

1752年、神聖ローマ皇帝フランシスコ1世によって、シェーンブルン宮殿の皇帝動物園として設立された。当初は皇族と宮廷の楽しみと教育のためのものだったが、1779年に一般公開された。

特に19世紀初頭に動物学者カール・フランツ・アントン・リッター・フォン・シュライバースの管理下で、科学的基準と自然主義的な囲いを導入し始めた。今日のウィーン動物園は、自然保護活動、繁殖プログラム、生物多様性と生態系に関する一般市民への啓蒙活動で知られている。

こちらの動画を見てもらうと、豪華な建物はおいておいて、動物園の様子は意外に一般的な動物園と変わらないと思うかもしれない。しかし他の世界中の動物園がこの動物園の特徴を取り入れているのだ。

The world’s oldest Zoo | Schönbrunn Zoo | Lav A Pie

その名の通りユネスコ世界遺産に登録されているシェーンブルン宮殿の敷地内にあるが、おそらくシェーンブルン宮殿と別組織であっても世界遺産に登録されたであろう動物園である。

継続した進化を遂げていて21世紀初頭にも動物たちの生息環境をより自然に近づけるための大幅な近代化が行われた。また熱帯雨林ハウスもあり、鳥やコウモリが飛び交う熱帯の生態系も体験できることも付け加えておきたい。

ロンドン動物園  イギリス王室も大好き

1828年に開園したロンドン動物園は、当初は科学研究のためのコレクションとして作られ、世界初の科学的動物園といえる。約20年後の1849年には爬虫類館もオープンし、1853年には水族館も出来た。

ロンドン動物園は自然保護に力を入れており、スマトラトラやアジアライオンを含む絶滅危惧種を飼育している。昆虫展示もあり、生態系における虫の重要性について一般の人々に教育することを目的としている。

London Zoo | ZSL London Zoo | London | England | Things To Do In London | Travel Vlog

そしてこちらはエリザベス女王の息子のチャールズ王とウィリアム王子。序盤に載せた女王の訪問の映像から半世紀後である。続けてみると感慨深いかもしれない。

Prince William and Charles visit tigers at London Zoo

ベルリン動物園  ドイツ最古の動物園


1844年に設立されたベルリン動物園はドイツ最古の動物園であるだけでなく、希少種や絶滅危惧種を含む約1,400種、20,000頭以上の動物を飼育する世界有数の動物園でもある。
革新的な生息地 著名な水族館をはじめ、自然環境を模倣した綿密に設計された生息環境を特徴とする。

絶滅危惧種を含む繁殖プログラムの成功で名高く、自然環境を模倣したうまく設計された生息地で、素晴らしいビジター体験を提供している。

Berlin Zoo, 1937

世界最大の動物園 サンディエゴ動物園

1916年に開園し、カリフォルニア州サンディエゴのバルボア公園に位置する、世界的に最も有名な動物園のひとつで、その保護と種の保存活動で知られている。具体的には650以上の種と亜種、3,500以上の動物を飼育する。

自然の動物の生息地を再現したオープンエアーのケージレス展示を初期にやり始めたことで特に有名だ。サンディエゴ動物園サファリパークはより広い放し飼いの囲いの中で動物を見ることができ、アフリカのサファリのような体験を提供することを目的としている。

Welcome to the San Diego Zoo Safari Park

また、この動物園のペンギン・ビーチは南米のビーチを模して作られた、アメリカ最大級のペンギンプールだ。

サンディエゴ動物園は客観的にも、アメリカだけではなく世界で常にトップクラスの動物園として評価されている。希少種や絶滅危惧種の膨大なコレクションで知られるこの動物園は、動物ケアと保護科学の最前線にある。ちなみに動物以外にも、この動物園には70万本以上のエキゾチックな植物を集めた広大な植物コレクションもある。

サンディエゴ動物園ワイルドライフ・アライアンスを運営し、世界の種を救うための保全科学に力を注いでいる。また「フローズン・ズー」プロジェクトなどのプロジェクトでは将来の技術によって絶滅種を復活させることができるようになることを期待して、動物の遺伝物質を保存している。

21世紀の現代においてはある意味地球を代表する動物園といえるかもしれない。

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