有名な幻獣と動物 セルキーはアザラシ、バジリスク、マンティコア、キメラまで

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有名な幻獣と動物 セルキーはアザラシ、バジリスク、マンティコア、キメラまで

世界中の様々な文化圏のファンタジー文学、神話、民間伝承にはヒトを含み、動物を組み合わせた有名な生き物が数多く登場する。

今回は順に、ファンタジー動物のヒトタイプ、ヘビタイプ、馬タイプ、ライオンタイプ、鳥タイプという流れで紹介していきたい。複数に属することも多く、この分類は重複してしまうところがあるのでそこは大目に見てほしい。

セルキー科 ヒトタイプ

ナーガ
ナーガはヒンドゥー教、仏教、ジャイナ教に登場する蛇のような神または存在である。インドを中心とした南アジアの神話に根ざしている。龍のように水(川、湖、海)に関連していて財宝や秘教的知識の守護者と考えられている。

また、文脈によって善であったり悪であったりする。その力と神秘性によって一般に崇敬されている対象だ。南インドの龍と考えるとわかりやすい存在であると思う。

一般的表現としては、蛇の下半身と人間の上半身を持つ姿で描かれるが、全体が蛇のような姿や複数の頭を持つ姿もある。変身能力を持ち、環境、特に水域を支配する。保護、豊穣、有益と危険の二面性といったテーマを体現しているともいえる。

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セルキー
セルキーはスコットランド、アイルランド、フェロー諸島の民話に登場する神話上の存在である。彼らはなかなか扱われることのないアザラシがベースの生物だ。皮を脱いで人間になることができる。セルキーの神話はスコットランドの最北部であるオークニー諸島とシェトランド諸島に最も多い。

地元の民間伝承の重要な部分を形成しており、しばしばセルキーと人間の間の愛と憧れの物語と絡み合っている。アザラシの姿のセルキーは、普通のアザラシと見分けがつかない。しかし、アザラシの皮を脱いで美しい人間の姿を見せることができる。そして物語は通常、セルキーのアザラシの皮が人間に隠されたり盗まれたりすることで展開する。

こうした海と女性の怪物の組み合わせの物語はかなり怖いイメージがつきまといがちだが、セルキーは比較的穏やかで愛情深い性格である。こちらの動画を見てもらえればわかると思うがあくまで比較的にである。

Blackbriar – Selkie (Official Animated Video)

セイレーン
警報や救急車や消防車のサイレン、スターバックスのロゴ。これらには共通点がある。

それがセイレーンである。セイレーンはギリシャ神話に登場する生き物で、魅惑的な音楽と声で船乗りを破滅へと誘うことで知られている。

元来、セイレーンは女性の頭を持つ鳥のような生き物として考えられていたが、時が経つにつれ西洋文化では人魚のような姿として描かれることが多くなった。よくある物語では船乗りを魅惑的な歌声で誘惑し、船を危険な岩に向かわせ難破に導く。

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ミノタウロス
ケンタウロスではない。ケンタウロスはまた下記の馬科のところを見てほしい。

ミノタウロスはギリシャ神話に登場する生き物である。人の体と雄牛の頭を持つ。クレタ島の女王パシファエとポセイドン神が遣わした雄牛との間に生まれた。この生物を発見したミノス王はクノッソスにあるダイダロスが設計した迷宮に隠したが、最終的に英雄テセウスによって殺されることになる。

ミノタウロスは人間の知性と動物の獰猛さの融合である。伝統的に恐ろしい存在として描かれ、迷宮に閉じ込められ、ミノス王への貢ぎ物としてアテネから送られた人間の生贄を餌としている。

バジリスク科 ヘビタイプ

バジリスク
“蛇の王 “と呼ばれるバジリスク。ひと睨みで死をもたらすことができる蛇の王と伝えられる伝説の爬虫類である。古代ギリシャとローマの伝説に由来するバジリスクの名前は、ギリシャ語で「小さな王」を意味する「バジリスコス」に由来する。これは評判の高い王冠の形をした紋章を反映している。

睨みつけ、毒、あるいは息で殺す力があると信じられている。描写についてはさまざまだが一般的には王冠のような紋章を持つ蛇として描かれる。

のちのヨーロッパの伝説ではドラゴンの体と雄鶏の頭を持つ怪物、コカトリスに似た特徴を持つこともある。

The Witcher 2×08 | Geralt Fight Scene Giant Basilisk

このウィッチャーの映画のバジリスクのように手があるのもよく見られる描写だ。大きさ的にアナコンダより大きいのも一般的である。

ヒドラ
ヒドラはギリシャ神話に登場する怪物的な多頭の蛇で、最も有名なのはヘラクレスが十二の大業で遭遇したことである。アルゴリッドの沼地レルナ湖に棲むヒュドラは、ほとんど無敵の性質を持っていると言われていた。この生物は最終的にヘラクレスによって退治されたが、ヘラクレスはそれぞれの首を切り落とした後、火を使って首の切り株を焼灼した。

ヒドラの最大の特徴は複数の頭部を持つことで、さまざまな記述でその数は異なっている。毒のある息と、匂いさえも致命傷になりかねないほど凶暴な血を持っていると描写されることが多い。ヒドラは圧倒的な挑戦や、倒そうとするたびに強くなる敵の象徴であり、ある種の問題は正攻法で解決しようとすればするほど複雑になるという考えを反映している。

ドラゴン
ドラゴンは、ヨーロッパ神話や北欧神話からアジア文化に至るまで、世界中の文化に見られる最も象徴的で広範な神話上の生き物のひとつである。また、ユーラシアの西と東ではかなり違いがある生き物である。

西洋のドラゴンは財宝をため込み火を吐く悪意のある存在として描かれることが多い。東洋のドラゴンは力、強さ、幸運、水を象徴する。畏怖や災害と同時に恩恵をもたらす生き物の側面も見られる。中国では皇帝の象徴であったし、優れた人を龍で称することもある。鳥山明氏の漫画、ドラゴンボールでは龍は願いをかなえてくれる。

見た目についてもだ。西洋の伝統的な描写では、ドラゴンは翼を持ち、火を吐く能力を持つ、鱗に覆われた大きな爬虫類として描かれるのが一般的である。対照的に、東洋の龍は蛇のような姿をしており、長く流れるような体を持つ。そして水や天候を操る能力を持つ。どちらも空を飛ぶが、西洋では翼で空に上がるが、東洋では揚力は自然発生していて普通に浮かんでいる。

ということで、最大公約数的に東西をまとめて特徴づけるならば、ドラゴンは空を飛ぶ爬虫類と言えるだろう。

ユニコーン科 馬タイプ

ユニコーン
額から突き出た一本の螺旋状の角を持つ馬である。主に西洋神話に根ざしているがユニコーンは世界中の多くの文化の神話や伝説に描かれてきた。中世ヨーロッパではユニコーンは純粋さや美しさを象徴し、しばしば処女性や神と結びつけられていた。またユニコーンを捕まえることができるのは処女だけだとも信じられていた。その特徴はもちろん白馬のような外見、一本の角であるが、ライオンの尾もしばしば見られる特徴である。

角には毒を中和する力があるとも言われていた。ユニコーンが現実の生き物だったらこれで乱獲されて絶滅していそうな特徴である。。

ケンタウロス

そして名前の似ているケンタウロス。こちらは人間の上半身、そして馬の下半身を持つ神話上の生き物である。ケンタウロスはテッサリアやアルカディアの山や森に生息していると言われている。未開の自然を体現する存在として描かれるが、賢くて高貴な存在として描かれる物語もある。場合によりけりだ。

ケンタウロスは弓矢を振るう姿で描かれることが多く、狩人や戦士としての腕前を反映しているが、ケイロン(またはケイローン)などのケンタウロスは知恵と癒しに関連していて独立した存在となっている。

ミノタウロスとケンタウロスは紛らわしいが、牛がミノタウロス、馬がケンタウロスである。紛らわしいので再度述べておく。自分の間違い帽子を兼ねて。

グリフォン科 ライオンタイプ

グリフォン(グリフィン)
グリフォンはライオンの体とワシの頭と翼を持つ神話上の生き物である。古代近東と地中海の神話に由来する。グリフォンは財宝や貴重な財産を守ると信じられていた。中世ヨーロッパではキリスト教の勇気と保護の象徴となった。

獣の王(ライオン)と鳥の王(イーグル)の組み合わせとして、グリフォンは雄大で力強い生き物として描かれている。ライオンの強さと勇気に加え、鷲の鋭い視力と飛翔能力を併せ持つ。

The Spiderwick Chronicles (4/9) Movie CLIP – The Griffin’s Flight (2008) HD

キメラ
キメラもギリシア神話に登場するクリーチャーである。やはり複数の動物の一部から構成された怪物のような火を吐くハイブリッドとして描かれている。一般的には、ライオンの頭と胴体、背中から生えたヤギの頭、尾の蛇やドラゴンが描かれる。キメラはテュポーンの子供である。テュポーンは何という方もいるかもしれないが、色々な怪物が出てくるギリシャ神話で出てくる中で、最も強い、怪物である。(プレイステーションのファイナルファンタジーで呼び出した人もいるかもしれないが)

兄弟は書ききれないのだが同じくライオンの怪物のケルベロスや蛇の怪物であるレルネーのヒュドラなどが有名どころだ。同じ兄弟か子供がスフィンクスというこの界隈ではトップエリートの家系である。結局はやられてしまうが英雄ベレロフォンがペガサスの助けを借りてなんとか退治した動物として描かれる。

キメラはグロテスクな怪物の象徴のように扱われることが比較的多い。恐らく色んな動物の頭が出ているのが原因だと思う。単純なパーツごとの組み合わせではないのがキメラの特徴といえるだろう。

マンティコア
マンティコアは今のイラン地域であるペルシャにルーツを持つ伝説的な生き物だ。といっても出現するのはインドのジャングルとされている。いわゆる人食いとして恐れられていた。この生物は後にギリシャに取り入れられ、その後ヨーロッパに拡がる。

マンティコアはライオンの体、3列の鋭い歯を持つ人間の頭、そして時にコウモリのような翼を持つように描かれることが多い。また、サソリかドラゴンのような尾を持ち、獲物に毒の棘を放つことができる。力強い跳躍力と、ラッパの音に似ていると言われる声で有名な特徴である。全方位に怖い。こちらのパーシージャクソンの映画のマンティコアではもはや顔もライオン風になり、全体的にボディビルダーのライオンのようになっている。

PERCY JACKSON: SEA OF MONSTERS Clip – “Luke’s Yacht” (2013)

余談だがフランスでは18世紀半ばにジェヴォーダンの獣という謎の狼のような巨大モンスターの動物が森に出没し、113人もの人が殺された記録がある。実際に当時の王のルイ15世が注意を払うほどの大騒ぎとなった実際の人食いの事件だ。

マンティコアはペルシャの人が伝聞で聞いたインドの話であるが、この怪物の外見はともかく何か話の元は実際にあったのかもしれない。例えば森で泥のついたインドライオンやベンガルトラのような。

フェニックス科 鳥タイプ

ロク
ロクは巨大な猛禽類で、しばしば象を運び去るほど大きいと表現され、中東や南アジアの民間伝承に見られる。その起源は “千夜一夜物語 “の船乗りシンドバッドの物語にまで遡ることができる。物語の中で冒険者たちの危険と助力の両方を表しているといえる。

通常、巨大な鷲か、太陽を暗くするほどの大きな影を落とすほど翼を広げた鳥として描かれる。捕食能力も異常に高い。船とその乗組員を丸ごと運び去る能力を持つほどである。

フェニックス
不死鳥は、誕生、死、再生のサイクルで知られる神話上の鳥である。自らの灰から蘇る不死鳥は、再生、不死、生命の永続性を象徴している。古代エジプト神話にルーツを持ち、ギリシャ、ローマ、中東の伝統など、さまざまな文化的神話に取り入れられてきた。

一般的に光を発しながら明るく輝く、燃えるような羽毛を持つ大きな鳥として描かれる。フェニックスの最大の特徴は前任者の灰から再生または生まれ変わる能力である。また太陽と結びつけられることも多い。死に対する生の勝利を表し、フェニックスの涙には癒しの効果があるとも言われている。

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