ゾウの豆知識 鼻を見て、ジュゴンやマナティーの親戚です

動物

ジュゴンとマナティーは象の兄弟 ステラーカイギュウも忘れないで

サイやカバのような他の大型哺乳類の草食動物とはゾウは少し異なる。ゾウは細長く筋肉質な体幹を特徴とする哺乳類のグループである長鼻目(Proboscidea)の唯一の生き残りなのだ。

長鼻目(Proboscidea)はテティス獣類(Tethytheria)に属すグループである。そしてこの上位グループはゾウ以外にジュゴンやマナティーを含むのだ。ということでジュゴンやマナティーはゾウのいとこである。いわれてみれば微妙に似ている気がしないでもないと思うがどうだろう?

え?ジュゴンとマナティーの区別がアフリカゾウとアジアゾウくらいわからない?

私もです。動画を持ってきたので是非ご覧あれ。まずはこちらがジュゴンだ。

What in the World is a Dugong? | National Geographic

ジュゴンの口は海底の草を食べるので下を向いていると覚えると見分けやすい。そして以下の動画がマナティーだ。

The Florida Manatee

マナティーは口も尾ひれも丸みがあるのが特徴だ。ジュゴンと違って海底も海中も海面の草も全部食べるのだ。

余談なのだが、ステラーカイギュウ(Steller’s sea cow)というジュゴンやマナティーを巨大にしたような兄弟も昔はいたのだがそちらは絶滅してしまった。

彼らは18世紀にベーリング海で発見された。しかし彼らは巨体のため動きも遅かった。かわいい見た目の上に仲間を助ける習性もあったのだが、ハンターたちにそれも利用され逆に助けに来たところを殺されたりと、なんと発見から40年足らずで乱獲され狩りつくされてしまったのだ。天敵がいない環境でのんびり楽しく暮らしていたところ、ライフルを持った人間たちがくればひとたまりもなかったようだ。

系統学的な面からいえば、巨大な彼らが今も生きていたらゾウとジュゴンとマナティーがみんな兄弟だというのがよりわかりやすかったことだろう。

ゾウは1種類じゃない? アフリカゾウとアジアゾウの違い

ゾウはアフリカゾウとアジアゾウという2つの異なる種として知られている。アフリカゾウはアフリカの広大なサバンナ、アジアゾウはアジアの鬱蒼とした熱帯雨林に生息しているタイプが多い。

21世紀に入ってからの最近の遺伝学的研究から、アフリカゾウとサバンナゾウは別種と見なせるほど異なる種である可能性が示唆されている。

見分け方

アフリカゾウ

GIANT Elephant Buffet

アフリカゾウは一般的に体が大きく、耳も大きく、しかも、アフリカ大陸のような形をしている。また、背中がへこんでいて、皮膚にしわが多いのも特徴だ。

アフリカゾウはさらに2つの亜種に分かれる。赤道直下の森林の鬱蒼とした葉に包まれた森林ゾウと、広大な平原に適したサバンナゾウだ。

アジアゾウ

一方、アジアゾウは小型である。といってもそれなりに大きいのだが、見比べると大きさは結構こんなにかというくらい違う。

耳は小さく丸みを帯びており、背中は凸かまっすぐで、皮膚のしわは少ない。

まとめると

子供のような特徴が多いのがアジアゾウ、お年寄りのような特徴が多いのがアフリカゾウと覚えると覚えやすいかもしれない。(つるつるの肌で背中のまっすぐなお年寄りに怒られそうだが)

雌雄ともに牙が生えているアフリカゾウとは対照的に、アジアゾウの雌には牙がないことが多いのも特徴だ。そのため密猟以外で牙がなかったら絶対にアジアゾウだと見分けることができる。

ゾウの体のトリビア ゾウの鼻は鼻だけど鼻じゃない

象の象徴である牙は切歯の延長である。つまり前歯だ。人間で考えるとちょっと怖い。そして牙は道具であると同時に武器でもある。

ゾウの鼻と呼ばれる部分も他の動物の鼻とは発生が異なる。鼻と上唇が融合したものなのだ。

万能のゾウの鼻は、摂食と飲水のための手足として、コミュニケーションのための音響増幅器として、そして環境を探索するための触覚器として機能する。

ゾウの足にはじっとしているだけでも一つの足に2トン近くの体重がかかる。歩けばもっとかかるわけだが象の足はナイキのエアシューズのように足裏に脂肪のクッションが入っていてそれを緩和している。

ゾウは後腸発酵動物であり、胃は単純な1室構造である。そのため消化の効率が悪く摂食時間が長くなる。動物園に行ったときに他の動物の食事タイムは見れなかったのにゾウが鼻で草を巻いてずっと食べているのを目撃した覚えのある人は多いのではないだろうか?

特にアフリカゾウでは、耳が大きな帆のようにはためき、放熱と体温調節に役立っている。

ゾウの色々なトリビア 自己認識もできる頭の良さ

鏡に映った自分を認識する能力がある。これは実は人間、類人猿、イルカなど、他の数種類にしかない自己認識という特殊能力である。

自分の姿を興味津々でチェックするゾウ。凄い微笑ましい。

Mirror Self-Recognition in Asian Elephants!

感情の深さでも知られており、特に同族の死に対する反応では、動物界ではめったに観察されない死への理解を示唆する行動を見せる。

ゾウの社会構造は母系制であり、群れを率いるのは最も年上で、しばしば最も大きなメスである。

人間の可聴域を下回る低周波の低周波音を使って長距離コミュニケーションをとる。

メスのゾウは、陸上哺乳類の中で最も長い約22ヶ月の妊娠期間に耐える。そして体重100キロの子ゾウを出産する。衝撃の10万gの赤ちゃんである。

睡眠時間は1日わずか2~4時間で、哺乳類の中でもかなり短い方だ。

しかし寿命という点ではゾウは陸上哺乳類の中で最も長生きである。野生では60~70年生きる。飼育下では、捕食がなく、継続的な獣医療が受けられるため、寿命はもう少し延びる。

彼らが水を好むのは、涼んだり遊んだりするためだけでなく、食べ物を消化したり、寄生虫から皮膚を清潔に保ったり、水分補給をしたりするためでもある。

東京のアイドル、ゾウのはな子

ゾウの飼育は容易ではない。ゾウの日常的な活動には、広範囲を歩き回り、採食し、他のゾウと交友することも含まれる。

また、毎日かなりの量の餌を消費し、通常150kgも食べる。法的にも倫理的にも、ゾウをペットとして飼うことはできず、ゾウの複雑なニーズを満たすことができるのは、認定された動物園や保護施設のみである。

東京の井の頭公園動物園で66年生きたアジアゾウの「はな子」は2016年になくなった当時の日本で最高齢のゾウであった。第二次大戦後に戦争で傷ついた日本の子供たちへということで、タイの実業家が個人的な厚意による寄贈で送ってくれたものだ。自分の周りでもだがはな子は日本全国にファンがいた。

ゾウのはな子の65歳の誕生日の様子がこちら。年齢性別を問わず大人気であった。

戦後を見続けたゾウ「はな子」65歳のお祝い会で・・・(12/02/05)

今でも井の頭動物公園にははな子を記念した展示室があり日本に来た時からの写真などが部屋いっぱいに飾られている。自分は3年前に井の頭公園動物園に行ったときに寄ったがそのときもファンの方が見に来ていたのを覚えている。

地理的に見ると、ボツワナ、ジンバブエ、タンザニアに最も多くのゾウが生息している。あまり知られていないが推定生息数13万頭のボツワナがトップである。

ボツワナとジンバブエは左右隣り合っていて、両方とも南アフリカの北の内陸の国である。タンザニアはコーヒーでも有名だしすぐわかった方も多いかもしれないがケニアのすぐ南のアフリカ東岸の国だ。

最も長生きしたゾウの記録はインドのケララ州のアジアゾウでなんと88歳である。その前の記録は台湾の動物園のアジアゾウで86歳だった。

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