レッドパンダとは
レッドパンダとはレッサーパンダである。そして本来は彼らこそがパンダである。
下記の悲しい由来を読んでほしい。
レッサーパンダの由来 パンダではないが、パンダである
レッサーパンダはパンダではない。
しかしレッサーパンダはパンダであった。
どういうことかと思ったかもしれない。。しかしこの二文は事実である。
ヨーロッパ人が最初にパンダと呼んだのはレッサーパンダなのである。
そしてその後に、現在パンダと呼ばれるジャイアントパンダが現れ、そちらがパンダの名前を独占してしまうのである。
レッサー、つまり小さいパンダなどと呼ばれたり、または英語では先述のようにレッドパンダと呼ぶのも一般的であるが、そもそもはこちらが本来の唯一の「パンダ」であったのだ。
今のパンダが常にジャイアントパンダやビッガーパンダ、モノクロパンダと呼ばれるのが筋な気がするが今となっては遅い。。
ちなみに中国語ではジャイアントパンダが大熊猫、レッサーパンダが小熊猫であるので中国でも元祖パンダとしての名声はなくなってしまっている。。
ちなみに後述するようにお互いに少し共通点はあるのだが、遺伝的に種類も全然違う動物なのだ。
他の動物で例えるならサイとコビトカバを同じ扱いにするような感じだ。虎と猫のような関係でもないのである。
レッサーパンダはなぜ赤い?
レッサーパンダの赤い毛は、自然の生息地ではカモフラージュの役割を果たしている。枝が赤茶色のコケや地衣類で覆われているモミの木の樹冠に溶け込むのに役立っているのだ。
彼らの毛の赤はメラニンとして知られる色素の種類に関係している。哺乳類では毛皮の色調は主にメラニンの分布と種類によって決まるのだ。そしてフェオメラニンは赤と黄色の色調に、ユーメラニンは暗褐色と黒の色調に寄与する。レッサーパンダの場合、フェオメラニンが存在するため、特徴的な赤い色をしている。
レッサーパンダがお尻を振る理由 かわいい?本当に?
なぜレッサーパンダはおしりをこするのか?
動物園で見かけるとかわいいと言っているのを自分は何度も聞いたことがある。(本当だ、3回くらい聞いた)
レッサーパンダは尻尾の付け根近く、お尻の部分に匂い腺がある。いわゆる臭腺だ。これをレッサーパンダはこの部分を木や岩にこすりつけ、匂いで縄張りを示すのである。
用途は違うがここから強力に吹き付けてくるやつがいる。スカンクだ。
つまり空中に放つか木になすりつけるかの違いである。。。
この行動には、他のレッサーパンダに自分の存在を伝える、縄張りの境界を示す、繁殖状態を示すなど、いくつかの目的がある。レッサーパンダは孤独で、密集した生息地に住んでいるため、においによるマーキングはレッサーパンダのコミュニケーションにおいて非常に重要な役割を担っている。
しかし臭腺を擦り付けていると知っていても実際見るとかわいい。動物園に行ったらレッサーパンダの檻の前で10分くらいのんびり見ていてみよう。
結構お尻をふって擦り付けている。個体差はあるかもしれないが東京の西側の某動物園のレッサーパンダは1分くらいの間に自分のスポットのようなコースを回って3連発ですりつけていた。自分が鳥だったと考えるととてもじゃないがあのゾーンの倒木には降りられないけど…
そして
探したら動画があったので貼っておきます。笑
レッサーパンダはなぜ立つの?
見晴らしをよくするためである。捕食者や他のレッサーパンダを見つけやすくするために、後ろ足で立って周囲を見渡すと考えられている。草や低木の中で暮らしていることを考えると割と有効な行動であるとわかってもらえると思う。
また時には潜在的な脅威を追い払うため、あるいは縄張り争いの際に他のレッサーパンダを威嚇するために、体を大きく見せるとも考えられている。熊にあったときに人間も服などを掲げて自分の体格を大きく見せて追っ払うことが推奨されることがあるが、狂暴なレッサーパンダに出くわした時には通じなさそうである。
レッサーパンダ風太くんの今は?
こちらはアイドルレッサーパンダ風太くん。2005年には何故か日本全国に連日流れるニュースになった当時生まれていた日本人のほとんど全員が知っているレッサーパンダである。
人間で考えると高齢だが、2024年のこの記事執筆時点でも千葉市動物公園で嬉しいことに健在である。そしてツイッターでほぼ毎日様子が載せられていてどれもいいねが5000件ほどと人気も健在だ。
そしてこちらは風太くんの息子のエイタくんである。立派に二本足で立っているようだ。
彼らの人気のおかげもあり日本はシセンレッサーパンダの飼育数はなんと260匹を超えて世界一である。日本を含めた世界中の動物園で350頭ほどの四川レッサーパンダが飼育されているので3分の2以上が日本を占めるという割合だ。
余談だがレッサーパンダは中国だけの動物ではない。ネパールにはネパールレッサーパンダ(または西レッサーパンダ)が生息している。実はこちらのが世界の動物園ではメジャーだ。600匹ほどが飼育されているが日本ではこちらは逆に10匹ほどとかなり少ない。
ただそうは言っても見た目は四川レッサーパンダとほとんどかわらなく一見区別がつかないほどである。具体的には四川のが色としっぽのシマ模様が少しだけ濃い。
ミーアキャットも立っているよ?
動物ブログなので他の動物に関連した余談。私見だがミーアキャットはどの動物園でも大抵しょっちゅう立ち上がっているのに不公平じゃないだろうか?
ミーアキャットもレッサーパンダも立つ理由も先述の通り視線を上げての周囲の観察と考えられている。つまり今日はカメラで撮っている人が何人とレッサーパンダもミーアキャットも考えているかもしれない。
動物園にいるときの個人的体験としてはミーアキャットは3匹くらいが同時に立っているところでも撮影している人数は1人からせいぜい3人くらいだ。(そしてその数には私自身を含んでいる。)
以上、ミーアキャットの檻の周りを見るたびに思っているのでせっかくなので述べておきました。結構砂に潜ってこっち側を見てきたりと動作もかわいいのに、人気の格差がいたたまれない。。
ジャイアントパンダとの関係は? むしろ仲間はスカンクやアライグマ
レッサーパンダとジャイアントパンダは、共通の名前と食餌の嗜好があるにもかかわらず、密接な関係はない。レッサーパンダ(Ailurus fulgens)はアイルルス科の唯一の種である。一方、ジャイアントパンダ(Ailuropoda melanoleuca)はクマ科に属する。
先ほど臭腺の話をしたが、実際にジャイアントパンダよりレッサーパンダはスカンクに近い。またアライグマやイタチもジャイアントパンダに比べれば近いグループの動物だ。レッサーパンダを含め彼らは全員が、Musteloidea、イタチ上科というグループに属する。
元祖パンダなのでパンダと呼ぶのが本来望ましいと思うが、上記のことより、レッドスカンクやアラワナイグマと呼んであげた方がレッサーパンダ、まるで足りないパンダと呼ぶよりは正しいし分類学的にも良いのじゃないかと思う。
「擬似親指」(木の枝や竹をつかむために手首の骨を延長して改良したもの)といった2種の共通点は、高校の教科書などで読んだのを覚えている人も多いかもしれないが、収斂進化の一例である。
収斂進化とは無関係な種が同じような環境や生態的ニッチに適応するために、独立して同じような形質を進化させることである。分子生物学的研究と遺伝学的証拠により、これらの類似性は家族的な密接な関係ではなく、この収斂進化によるものであることが明らかになっている。
ジャイアントパンダのようにレッサーパンダは主に竹を食べるが果物、ドングリ、昆虫も食べる。ただよく食べていると思うのは間違いではない。実際に竹は彼らの食事の約85~95%を占める。
また研究によるとレッサーパンダはジャイアントパンダと同様、アスパルテームのような人工甘味料を味わうことができるようだ。
レッサーパンダの生活トリビア とにかくかわいい
熟練クライマー。レッサーパンダは木登りが得意だ。木の上で眠ることもある。頭から木を降りるときは、前足の片方が回転し、コントロールしながら降りるのを助ける。
レッサーパンダの個体数減少の主な理由は、森林伐採による生息地の損失、人間の侵入、近親交配不況、毛皮と尻尾を目的とした密猟である。レッサーパンダは現在絶滅危惧種に指定されている。
個体数減少とはあまり関係はないが、レッサーパンダはユキヒョウやテンからは捕食対象だ。密猟者よりは遥かにましであるが彼らの天敵である。
レッサーパンダは薄明性だ。つまり夜明けと夕暮れに最も活発に活動する。昼間はのんびりし夜間は活動しない。ただ昼間ののんびりはずっと寝ている訳ではない、ゆっくり歩いたり竹を食べたりなどはするのんびりタイムだ。
ボディランゲージやさまざまな鳴き声でコミュニケーションをとるが、ふさふさした尻尾でもコミュニケーションをとる。身の危険を感じたり、腹立たしいと感じたりしたレッサーパンダは、後ろ足で立ち、猫のように尻尾を振り回す。
基本的に単独で行動する生き物で主に交尾のときだけ一緒に行動する。群れを作ることは基本的にない。そしてもちろん個別のレッサーパンダはマーキングで作った自分のテリトリーを持っている。
彼らの婚姻状況としては一夫一婦制ではなく、1回の繁殖期に複数のパートナーを持つこともある。
食べるときは食べ物を舐めてきれいにしてから食べる。かわいい。
ふさふさした尻尾はバランスやコミュニケーションのためだけでなく、寒いときには毛布のように巻きつけて暖をとる。かわいい。
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