ムササビ  もう一人のバットマン

動物

ユーラシアから北米までさまざまなところに生息するムササビ。主に夜行性のこの生き物は、昼間の時間を避け、夜になると木の実、種子、果実、昆虫、時には鳥の卵など雑食性の栄養を求めて梢をアクロバティックに移動する。

ムササビは小型から中型のげっ歯類である。インドに生息する大きくて赤みがかったマラバルモモンガや、北米に生息する小さくて灰褐色のノーザンモモンガなど、種類は大きさや色、地理的な場所によって区別できる。

大きくて丸い目をしているが、これは夜間視力を高めるための適応であり、ムササビの近縁種がほとんど昼行性であるのとは対照的である。

彼らはグライダーである。四肢の間に伸びるパタギウムと呼ばれるひらひらとした皮膚の助けを借りて翼のようなものを作り空中を滑空する。また、長く平らになった尾は滑空中の跳躍に安定性と方向性を与え、それを舵として使う。

ニホンモモンガのように冬に冬眠することで知られる種もいる。体温はなんとマイナス20度まで下がり、普段の活動的なライフスタイルとは対照的だ。

その後、より多くの種が発見され、それぞれ大きさや色、生態的嗜好にわずかな違いが見られるようになったが、その滑空能力は広範な生物力学的研究にインスピレーションを与え、ウィングスーツの設計など、人間の飛行における技術革新にまでつながった。

ムササビの大部分は成熟した森林を好むため、森林伐採は特に個体数に壊滅的な打撃を与える。サンバーナーディーノ・ムササビやウーパールーパーのような特定の種は、生息地が失われ、分布域が限られているため、絶滅危惧種または脆弱種とみなされ、緊急の保護対策が求められている。

げっ歯類のなかでは珍しい共同行動をとる。冬に集まって密集して暖をとる日本のスノーモンキーは有名だがムササビも同様である。冬の寒さのあいだ、ムササビの集団は暖をとるために共有の巣に身を寄せ合うことが多く、なかには50匹もの個体を収容する巣もあると報告されている。

ムササビは紫外線の下で発光する。生物蛍光と呼ばれる現象で、その正確な目的はまだ完全には解明されていないが、コミュニケーションやカモフラージュ、あるいは獲物を引き寄せる役割を果たしていると考えらえる。

動物園では、ムササビは野生のムササビよりもかなり長生きすることが知られており、その寿命は15年にも達する。この寿命の長さは、動物園でモモンガが受ける管理された食事、捕食者の不在、定期的な獣医学的ケアに起因している。

ムササビを家庭で飼うことについては賛否両論がある。その愛らしい外見と遊び好きな性格から、理想的なペットのように思われるかもしれないが、夜行性のライフスタイル、特殊な食事の必要性、滑空するための十分なスペースを必要とすることなどから飼育は難しい。

さらに、ペット取引に関する倫理的な懸念や動物にストレスを与える可能性があることから、ムササビは通常、自然の生息地か専門的な飼育施設で鑑賞するのが最も適していると一般的には考えられているようだ。

ムササビの飼育と展示を専門に行う動物園はかなり限られている。しかし、アメリカのミネソタ動物園や日本の多摩動物公園のような施設は、ムササビの展示に成功していることで知られている。自然の生息地を模倣した入念に設計された囲いをムササビに提供することで、ムササビ本来の滑空行動を見せるなどすることができ、来園者を喜ばせている。

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